三菱 REALはレトロゲーム最強のディスプレイの夢を見るか


三菱のMDT/RDT液晶は15kHz/24kHzが映ることは有名で、私自身も実際に試してレトロコンピュータ用のディスプレイとして活用しています。
それでは同じ三菱のREALはどうか?と LCD-H20MX75B で試したところ、15kHz/24kHzはもちろんのことX68000の特殊31kHzまで表示できました。
ただ15年前の古い液晶のため、バックライトが蛍光管だとか、消費電力が多いとか、重いとか、黒が引き締まっていないとか、画面が右に寄っているとか、「入力周波数または解像度が範囲外です」のメッセージが出るなど、色々と不満があります。
せめてLEDバックライトぐらいのスペックは欲しいところです。

そこで、ちょうど息子の部屋にテレビを置こうと思っていたので、お父さんの勝手な都合で比較的新しめのREALを買って実験・検証してみようと思います。
まあREALって、異様なぐらい安いから財布にも優しいし。

ただ大きな問題が1つ。
REALって、フナイのOEMなんですよね。
業界では有名な話らしいのですが、完全に世に知られてしまったのが2015年3月に発生した電源ON-OFFを繰り返す障害です。
三菱電機と船井電機とDXアンテナのテレビだけこの問題が発生し、REALはフナイのOEMであることがバレてしまいました。
無論フナイだから駄目ということではなく、15kHzに対応しているのは三菱なのでフナイの製品だと映らない可能性があるということです。

ごたくはこれくらいにして、実際に映してみましょう。
ちなみにこの液晶、上位機種や後継機種が1366×768のパネルなのに、この機種だけ1600×900です。
OEM感丸出しですね。

それではX68000いってみます。

おーーーーーー!
特殊31kHz いけた!
しかも、ちゃんと画面が真ん中に寄っている。
「入力周波数または解像度が範囲外です」のメッセージが出ません。



ただ、画面下にノイズみたいなものが映っていますね。
まあ、本来映らないはずの解像度なので仕方ありません。



次は15kHzどうかな...。
残念、映りません。
「入力信号がありません」
となります。



31kHzは信長の野望、パロディウス共にきっちり映ります。
普通の三菱の液晶は、15kHzが映っても特殊31kHzは上下が切れるものですが。

それでは、24kHzはどうでしょうか。
PC-9801いってみます。

映ります!
「入力周波数または解像度が範囲外です」のメッセージも出ません。
1~2ドット左にずれているようですが、設定で調整できました。
設定を見ると、PC-9801の640×400の解像度をサポートしているのが分かります。
サポート外の解像度を無理やり映しているわけではなさそうです。



ちなみに、このテレビには地上アナログ入力が付いています。
2011年に地上アナログ放送が終了し、各社のテレビがアナログ入力を無くしたにもかかわらず、何故かREALだけはその後も数年の間、地上アナログ入力を付けていました。
そのため、RF出力のレトロゲーム機も表示することができます。



当然HDMI入力もついているので、最新のゲーム機も表示することができます。

最後にPALいってみます。
フナイは日本での知名度は低いものの、世界的にはシェアが大きかったので映るかもしれません。

...やはり駄目でした。



健闘はしたのですが、残念ながら三菱REALはレトロゲーム最強ディスプレイの栄冠を獲得することはできませんでした。
それでもX68000の特殊31kHz、およびPC-9801の24kHzを映せたのは素晴らしいですね。

念のため、サービスマンモードで15kHzが映るような設定がないか確認してみます。
三菱コマンドを受け付けてくれました。
そのまんまフナイではないようです。
おや、この機種はモードの日本語説明が付いているではありませんか!

POW 0 強制パワーオン
INP 0 入力固定モード
KEY 0 本体キーモード
VOL 0 音量制限モード
HVOL 60 ヘッドホン音量制限モード
OSD 0 表示制限モード
SIZ 0 OSD表示サイズ
RMC 0 リモコンキー制限
RSV 0 DU予約モード
WUV 255 ウエイクアップ音量
WUHV 255 ウエイクアップヘッドホン音量
WUI 0 ウエイクアップ入力
WUCT 0 ウエイクアップチャンネル(地デジ)
WUCB 0 ウエイクアップチャンネル(BS)
WUCC1 0 ウエイクアップチャンネル(CS1)
WUCC2 0 ウエイクアップチャンネル(CS2)
WUCA 0 ウエイクアップチャンネル(地アナ)
LCI 0 起動時ラストチャンネル初期化
WUR 0 リモコンオン時、WUI、WUC有効
WUGHD 0 HD用ウエイクアップ画面サイズ
WUGSD 0 SD用ウエイクアップ画面サイズ
HDF 0 HD信号時画面サイズ保持
NET 1 NET(ネットワーク)対応
SITE 3 ネットワークサイト選択
HIS 0 ネットワーク履歴消去タイミング
FHDB 0 フルHDブラウザ
CATV 0 地デジC24~C27選局周波数
ANT 0 BSアンテナ電源強制オフ
DEMO 10 デモ間隔
DWP 0 EDID書込み許可
DPLAY 1 ネットワークダイレクト再生
NSIG 10 無信号節電時間
CTMR 0 課金機対応
ACH 0 地アナ選択時チャンネル切換
HEMS 1 HEMS対応
HEMSCNT 0 強制XGW無しモード
DMR 0 レンタラー対応
RVOD 0 DMR型VOD



膨大な項目の割には、それらしい設定はありませんでした。

他にも稼働時間とか見ていたら、「ホテルモード」なるものに入ってしまいました。
券売機がどうとか書かれていましたので、出張時にお世話になるアレですね。
言い方を変えると「エロビデオモード」でしょうか。
REALは安いので、ホテルに大量導入されているのでしょうね。

以上です。

このREALはフナイのOEMというより、要求・要件定義は三菱が行い、仕様は三菱またはフナイ、設計製造はフナイといったところでしょうか。
どこぞの軽自動車のように、エンブレムだけ変えたということではないようです。

この機種には搭載されていないのですが、もしかすると三菱純正のDiamond Engineを搭載した機種では15kHzが映るかもしません。
ただそうなると、32インチとか50インチとかになってしまうんですよね。
レトロコンピュータを映すにはちょっと大きすぎます。

昨日ハードオフに行ったら デジタルサイネージ NEC LCD-V322 が売っていたのですが、
いくら15kHz/24kHz/特殊31kHzが映るといってもただのモニターにこの大きさは無理だと思い、スルーしました。
個人的には24インチぐらいがジャストフィットかな。

ちなみに、フナイ電機は2021年に業績不振により上場廃止。
それに伴い、三菱電機も2021年に液晶事業から撤退しました。
もしレトロゲーム全てを映せてたら、もっとREALが売れたかな?
いや、売れなかっただろうなぁ。
レトロゲームの実機使っている人って、それほどいないし。


[追記]
PC-8801mkII FR 24kHzは映りませんでした。
PC-9801 640x400 24kHzは意図的に表示しているようです(非公式な正式サポート)。



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